建売住宅と注文住宅の価格構成を比較してみた

新築なのに中古より安い建売住宅にビックリ

たま~に中古住宅よりも安い建売住宅を目にするけれど、
あれ、大丈夫なんか?
って思う方もいると思う。

柱とか半分くらい抜いて作ってるんじゃない?
壁とか段ボールなんじゃない?
どうやったらあんなに安くなるんだ?
業界に23年もいるトメ先生でさえ思うのだから。

ところがどっこい大丈夫。
これが結論。

ちゃんと許認可を受けて建てている立派な住宅だし、
しっかりと社内検査をしているだろうし、
建築確認に基づいた中間検査も受けていて、
完成したら完了検査も受けている。
だから建築確認を受けられる性能を満たした建物ということ。

その通り!
あれもこれも最新装備をつける前に、
まずは図面通りにまじめに建てられていることが重要。
建築確認を受けることのできる建物の基準知ってる?
地震大国日本だからこその建築の最低基準について解説した記事。

ヒマでヒマでしかたない時にでもどうぞ。

制振ダンパーいる?いらない?

人間というのは不思議なもので、
価格が高いと「高い、高い」と不満を言う。
かといって安すぎると「大丈夫か?」と不安になる。

ちょうどいい価格ってのは人それぞれ。

「ちょうどいい」の根拠は世の中のルールで決まるのではないし、
売る人にとっての「ちょうどいい」価値観と、
買う人にとっての「ちょうどいい」価値観があるのだから。
適正価格ってのは本当にむずかしい。

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分譲地のスケールメリット

では、なぜ安い建売住宅が存在するのか。
それは、建売住宅だとスケールメリットが期待できるから。

スケールメリットとはなんじゃ?
スケールメリットってのは、メーカーから建材などを大量にまとめ買いすることで値引きしてもらう場合などが該当する。

他にも一度にまとめて工事をすることで、
コストを分散できる効果などもスケールメリットに該当する。

例えば日本でもっとも建売住宅を販売する飯田グループホールディングス。
十三代目市川團十郎白猿(この間までは海老蔵だった)がCMに出ているあのホールディングス。

あのホールディングスには、
「シャ~ナ~ナナナナタクトホーム」と柳楽優弥が路上ライブをするCMのタクトホームや、
一建設や飯田産業やアイディホームなど日本を代表する建売業者が存在する。
まさに、建売住宅業界の侍ジャパンのようなホールディングスなのだ。

で、飯田グループホールディングス。
ホームページを見てみると年間「46,000棟」の家を販売するそうだ。
トメ先生の勤務勤務先の100倍だ。

ここからはトメ先生の勝手な想像だが、
たとえば玄関のドア。
建具のメーカーから1セット100,000円で販売されているとしよう。

これを個人が注文住宅で設置する場合、
建具メーカーの販売数は「1セット」だ。

飯田グループホールディングスはきっとこんなやりとりをする。
「今年も1年で40,000棟から50,000棟を販売することになると思います。
 まずは、まとめて10,000セット仕入れるので価格を半額にしてもらえませんか?」

建具メーカーからしたら「10,000セット」の受注ができるメリット、
おまけに天下の飯田グループホールディングスと取引…。
半額までガクンと下がるかはわからないが、
注文住宅で「1セット」の販売に比べたら安くなりそうな気がしないか?

これが分譲住宅のスケールメリット。

ざっくり仕組みを解説

スケールメリットの仕組みを図解を使ってざっくり解説してみる。
金額等については正しいものではない。
あくまでも仕組みを解説しやすいように組み立てた金額なので、
ご理解のうえ読み進めていただきたい。

ここに4区画の販売区画がある分譲地がある。
そして相対するは注文住宅。
これら分譲地と注文住宅の工事の段階を追っていこう。

それぞれ建物の基礎を施工する。
基礎は基礎業者さんが施工する。
基礎の工事代金の構成はこんな感じだ。

まずは、基礎業者さんの人工代。
「にんくだい」と読む。
1人の工事業者さんが現場で1日仕事をすることで発生する手間賃のこと。

そして、基礎を作り上げるまでにかかる材料代。
コンクリートの代金、
鉄筋の代金、
基礎の型枠の代金、
ミキサー車が動くコストなど。

そして基礎を作るのに4人の職人さんが作業とする。
ひとまずコンクリートを打設するまでに2日間かかって、
1人の職人さんが仕事をすると人工が25,000円かかるとする。

住宅1棟の基礎を作るのに材料費などが500,000円かかるとする。
分譲住宅では1度に4区画の仕事をお願いするので1割の値引きに成功。
1区画当たり450,000円で工事できることになった。
注文住宅では1棟分の仕事だけなので500,000円のままだ。

これを図解に表すとこんな感じになる。

工事初期の段階ですでにスケールメリットが発生している

基礎ができあがると上棟だ。
上棟っての住宅の骨組みを立ち上げること。
大工さんが対応する。
大工さんは基本的に1人で住宅を建築するけれど、
上棟となると1人ではむずかしい。

大工さんは大所帯で事業を運営しているわけではないので、
懇意にしている大工さんや、分譲地で同じ時期に仕事をする大工さんに声を掛けて
5~6人の大工さんで上棟する。

となると、大工さんが6人現場に入るから6人工。
上棟は朝早くからはじめて1日で2~3棟くらいのペース。
ここは1日で2棟にしておこう。
4区画となると工期は2日間。

1日に25,000円の大工さんが6人なので1日当たりの人工は150,000円
2日間稼働してもらうとなると人工は300,000円となる。

そして建物の構造となる木材を1棟あたり6,000,000円くらいにしておこうか。
正しい金額はわからない。
こちらが4区画となると24,000,000円。

一度に4棟分の材料が受注できるのでスケールメリットの恩恵がある建売住宅。
スケールメリットが難しい注文住宅は7,000,000円で計算した。
図解で示してみよう。

スケールメリットの積み上げで累計の差額が大きくなってきた

ここまでご覧になっていただいて、
材料費だけではなく職人さんへの手当となる人工代にもスケールメリットが出ていることにお気づきだろうか。

注文住宅の場合は、どうあっても1区画に対する仕事だが、
建売住宅は分譲地で仕事をする関係で、
1人の職人さん、ないし1チームの職人さんが一度に複数区画の仕事を同時進行する。

上記の上棟であれば、
本来150,000円の人工代を区画数の分だけ均等割りできるのだ。

住宅というのは、
数えきれないくらい多くの建材の集合体だ。
今回はかなり省略しているけれど、
建材の分だけ職人さんがいるといっても過言ではない。

だから、材料費と併せて職人さんの手当も均等割りとなると、
スケールメリットの差がとても大きくなることがわかる。

では、続いて屋根の工事(かなりの工程をはしょっているのでご理解を…)
屋根も職人さんへの手当、材料費がかかる。

建売住宅ではスケールメリットで材料費を少しだけ値引きしてもらえたと想定。
図解で示すとこうなる。

住宅はたくさんの建材の集合体。すべての工程で考えるとスケールメリットの効果がわかる。

建売住宅のスケールメリットを実感していただけただろうか。
今回の解説では現場での工事について取り上げているが、
よく考えてみると、
工事中に現場に設置する仮設トイレ…。

仮設トイレが設置されていなければたいへんなことになる。
レンタル事業者さんから借りて設置するのだが、
トイレも注文住宅なら単独利用なのでレンタル費用も1区画分。

分譲住宅なら複数区画で共同利用するので
レンタル料は区画数で均等割りできるわけ。

そのほかにも、設計料や建築確認の申請費用なども同様だし、
工事の管理に携わる現場監督のお給料だって同じように考えられる。

だから同じ外観、同じ窓になるのかぁ

建売住宅に抱く先入観で、
分譲地内の建物がみんな同じ外観、同じ窓、同じドア…ってのがある。
たしかに注文住宅にくらべたらバリエーションの幅は狭いかもしれない。

身の回りで似たようなものといえば自動車だ。
みんな自動車だったら同じ外観でも不満はない。

プリウスはどれもあの外観で、
ランクルならどのランクルもあの外観で、
ケチをつける人は少ない。
プリウスやランクルがあの外観でないほうがケチをつけるのかもしれない。

でも、最近は建売の販売事業者というよりは
窓やドアや外壁のメーカーがかなり頑張っている。

同じグレードの玄関ドアでもバリエーションが豊かだ。
あれだけバリエーションがあればすべての玄関ドアが同じなるようなことも避けられる。

この国で建売住宅を一番販売している飯田グループホールディングスのような事業者が登場し、
メーカー側も安かろう…バリエーションがなかろう…では対応しきれないが故の努力かもしれない。

「建売住宅…」自信を持って選んでほしい

このように解説をしてきたけれど、
建売より注文のほうがいいとか、
注文より建売のほうがいいとか、
そういうことを言うつもりはない。

注文住宅と建売住宅では建物一棟あたりの金額に差が出る。
建売住宅なんて、
あの人気エリアで土地から建物を建てたら
普通ならあの金額ではおさまらないような金額で販売している。

飯田グループホールディングスやケイアイスター不動産などの
いわゆるローコストのビルダーは、なんであんな価格で新築住宅を販売できるのか、
その理屈をなんとなく理解していただけたらうれしい。

そして、住宅購入は「見栄を張る」という一面もある。
不動産はステータスの一種だからだ。

そんな価値観があるから、
注文住宅>建売住宅という認識ができる。

窓一枚、ドア一枚、畳一枚を自分で選んでお金をかけた注文住宅。
ポケットの位置、ボタンの色、裏地のデザインなどを自分好みに選んだオーダースーツ。
たしかにステータスを感じられるかもしれない。

でも時代はファストファッションの時代。
トメ先生なんてスーツはユニクロの感動パンツと感動ジャケットだ。
感動パンツも感動ジャケットも、作りが甘いなんてことはまったくない。
ユニクロの努力の恩恵を受けてビシッときまっている(自己満足)。

建売住宅も同じようなことではないだろうか、
販売事業者が手を抜いているわけでも、
ペラッペラの薄い壁を使っているわけでもない。

ここ数十年で建売住宅も進化しているのだ。
中には注文住宅のようなオシャレな建売住宅も存在する。
ああなってくると「注文住宅のような建売住宅」ではなく、
「完成した注文住宅」を販売しているようなものだと思う。

以前に注文住宅って気合を入れて作ったわりに、
結局、予算があるし、注文するのは素人だし、
あまりカッコよくないよな…と思って
こんな解説をしたことがある。

興味がある方はどうぞ。

注文住宅、時間をかけた割にオシャレじゃない説

世の中の「建売住宅は注文住宅より下」的な価値観のせいで
建売住宅という選択に自信を持てない方がいたら、
そのような考えこそ時代遅れなのだ。

将来、日本ではかなりの確率で
「中古住宅」の時代がやってくる。
もう「新築住宅」は時代に合わなくなってきているのだ。

そのうち、
「新築住宅なんか買うの?ダッサ…」
なんて言われる日がくるかもしれない。

今日の解説を読んでみて、
少しだけ自信を持てたなら、
さっそく情報収集をはじててみてはいかがだろう。

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