制振ダンパーいる?いらない?

住宅購入と将来発生する災害への対策

耐震性の高い構造も重要だし、地震の揺れで建物にかかるプレッシャーを軽減する制振装備もつけたい。
ああいう制振ダンパーとかの設備ってどうなん?
つけたいけれどお金がかかる。

最新最高級高性能耐震設備を導入したいのはやまやま。
注文住宅で検討しているけれど予算の都合でつけられない方。
購入を検討しているのが建売住宅なので完成しているしつけられないという方。
ついていない住宅なんて購入したら周囲からどんなふうに思われるか心配という方。
つけたいけれどつけられなくて悶々としている方に最新最高級高性能耐震設備の導入の前に大切なことを解説する。

これを読んだ後は、もしかしたら最新高級高性能耐震設備はついていなくても、まぁいいかくらいな気持ちになれるかもしれない。
自らが一般庶民であり、一般庶民のためのトメ先生の解説スタート。

大規模な地震は近々やってくる

近い将来、間違いなくシャレにならない規模の大地震は発生する。
東京湾の南から東海地方の南を通り四国の南までの海底のどこかで発生する大地震。
ヘタしたら、それらの大地震が他の断層に影響して同時多発型に複数の地震が発生するかもしれない我が国日本。

さっき内閣府のホームページを閲覧してみたら大地震の情報が掲載されていた。
それによると首都直下型地震が30年以内に70%の確率で発生し、南海トラフ地震もまた30年以内に70%の確率で発生するらしい。

地震が発生する確率が70%ってどんな確率なのか。
これは地震が発生する周期から追って算出するものらしい。
例えば過去の文献や資料から300年に一度の周期で発生している地震があるとする。
この地震が70%の確率で発生するというのは、前回の発生から210年が経過しているぞっていう指標だ。

ちなみに首都直下型地震の周期は200年から300年。
南海トラフ地震はの周期は100年から150年とある。
ということは南海トラフ地震を周期からみていくと、30年以内に発生しやすい大地震だということがよくわかる。

内閣府ホームページ「地震災害:防災情報のページ」より抜粋

大地震と住宅の関係を考えてみよう。
住宅は家族が団らんする場所であり、個人がリラックスする場所であり、家族を守るシェルターとなる場所だ。
大地震が発生した後は、ライフラインが整うまでの間を住み慣れた我が家で過ごしたいというもの。

だから、近い将来間違いなくやってくるシャレにならない大地震に耐えられる家が理想となるのだ。

経験したことがないからわからない

話は変わるが新型コロナウイルスのこと。
発生から3年を経て、ようやく対応が落ち着いてきた感がある。
発生したのが2019年12月。
すぐに年が明けて2020年になった。

思い出してほしい、2020年の今頃…。
新型コロナウイルスに感染するとどうなると思っていたか。
お恥ずかしい話、私は感染したら必ず死亡する。
そう思っていた。

ダイヤモンドプリンセス号で日本に帰国してもどんな病気かわからないから船から降ろしてもらえない。
世の中からはマスクが姿を消す。
緊急事態宣言が発令され。
パンデミックという言葉がおどろおどろしくて怖かった。

その内、空には日が昇らなくなり、街のあちこちに体調の悪い人が座り込んでいて。
そういう世の中がやってくるのでは…などと頭の隅で思っていた。

実態がわかるまでの新型コロナウイルスの大混乱は記憶に新しい

あれから3年。
私も昨年の夏、新型コロナウイルスに感染した。
今もしっかり健在でブログを書いている。

3年間、世界中でいろいろな情報が積み上げられ、様々な研究がなされた結果。
新型コロナウイルスはしっかり対策を講じれば感染を抑えることができる。
ワクチンを接種することで感染しても重篤な症状になりにくくなる。
感染しても数日は高熱などの症状があるが大抵はいつもの生活に戻れる。

3年前、毎日顔を合わせている人にですら「このひとウイルスを持っているのでは…」と疑心暗鬼になっていた。
知らないということ、経験がないということはそういうことなのだ。

大和ハウスのCM「レディメイドハウジング」と建売に慣れた営業さんの関係

大和ハウスのレディ メイド ハウジング…と建売に慣れた営業さんの関係

おかげさまで地震大国ニッポン

世界のマグニチュード6以上の地震の約2割は日本で発生している。
これも内閣府のホームページに記載があったこと。
マグニチュード6未満の地震も含めたら、日本のどこかが毎日揺れている。
まさに地震大国だ。

住宅については災害があるたびに、対策が講じられている。
大きな地震があると建築に関するルールがブラッシュアップされ、次の大地震に備えてきた。
発生したら被害は大きく、気が滅入って決していいもではない大地震だが何度か経験している。

経験したおかげで日本国内の建物には対策ができていると思う。
建築時のルールも厳格化されている。

トルコとシリアの国境付近で先日発生した大地震。
お亡くなりになった方のご冥福を祈り、被害にあわれた方には心からお見舞い申し上げる次第だ。

BBCニュースジャパンのサイトでは、あのトルコとシリアの地震も過去に発生する頻度が低いことを取り上げている。
経験したことがないから対策されていなかった建物。
経験していないから、今後も起きないだろうと甘い考えで建築ルールが無視された建物。
結果は、毎日報道で目にするとおりだ。

阪神淡路大震災で学んだこと
阪神淡路大震災は都市部で発生した大地震だ。
多くの建物が倒壊して、建物の下敷きになってしまいお亡くなりになる方が多かった地震。

なぜ建物が倒壊したのか。
それは建物に弱い部分が存在したからだ。
地震の揺れによる荷重は弱い部分に集中する。
すると弱い部分から破壊されて倒壊に至る。

当時の建物で弱かった部分。
まず床下換気口だ。
そう、基礎にみられる換気用の穴のこと。

基礎はその中に鉄筋が張られて、コンクリートを打設した鉄筋コンクリート製。
建物のすべての荷重を支える鉄筋コンクリートに穴を開けてしまう床下換気口。
現代ではほとんど見られなくなった床下換気口。

現代では基礎に穴を開けずに換気可能な基礎パッキン工法が主流になっていて。
基礎全体で建物荷重をしっかり支えることができるようになった。

もうひとつ弱かった点。
くりかえしになるが、結局は建物に強い部分と弱い部分があったという点だ。
建物の強度のバランスが悪く、床下換気口にかぎらず、建物の弱い部分に荷重が集中することで倒壊してしまうという問題。

そこで、現代では建物の壁のバランスを設計段階から重視する。
建物にかかる荷重は建物全体でバランスよく支える。
そういう方針に変わっている。

東日本大震災で学んだこと
東日本大震災、東北地方太平洋沖地震はその名が表すように海の近くで発生した地震。
こちらも多くの建物が破壊されて、多くの方がお亡くなりになった。

阪神淡路大震災と東日本大震災で異なること。
お亡くなりになった方の死因に特徴がある。
阪神淡路大震災では建物の倒壊によるものが多かったのに対して、東日本大震災では津波による窒息死が多くなる。

津波の状況は、当時のテレビ映像で何度も目にしたものすごいものだった。
あの映像で確認できること。
それは、津波が来る前は建物が存在し、街並みがそこにあったということだ。

そう、阪神淡路大震災の教訓を活かし、日本の建物は建物全体で荷重を支えるようになり、地震の揺れでは倒壊しにくい建物となっていたのだ。

災害による被害はイヤだったけれど、あのイヤな思いを次の災害に活かすということが日本の建築業界にはできているということだ

東日本大震災による津波。
津波による水圧は建物が側面で荷重を受ける。
日本の木造住宅は柱や梁などの軸組で構成されるため、さすがに建物の側面が津波の水圧に耐えるということは難しい。

高波と違い、海底のほうにある海水まで動いて発生する津波の力は我々の想像を絶するもの。
そこで国内では津波に耐える住宅を考えるのではなく、都市防災という対策がみられるようになった。
津波に耐える住宅を建てようとする必要はなく、津波が発生した時には高台に避難しやすくする街づくり。
住宅への対策ではなく、マクロな視点で都市が災害に対応するようにしているのだ。

「災害から学ぶこと」と「二日酔い」

国内で建物を建てる時に必要な許可である建築確認。
「確認」という名称が使われているので確認するだけかと思ってしまうが、これは「許可」だ。
設計段階の建物の状況を確認して、基準を満たしていれば許可を出す。
では、許可を出す際に地震に耐えるための性能基準をどのように規定しているのか考えてみよう。

建築確認が下りる建物の耐震性を耐震等級で表すなら等級1となる。
耐震等級2とか耐震等級3とかあるので耐震等級1となると最低基準で弱そうなイメージがある。
しかし、耐震等級1で想定している地震は100年に一度発生する大地震。
建築確認が下りる建物にはこのレベルの地震に倒壊しない性能が求められている。

100年に一度発生する大地震とはどんな地震なのかというと。
本日何度か登場している阪神淡路大震災や東日本大震災クラスの地震なのだ。
倒壊しない性能なので外壁が割れたり、屋根が破損したりということはあるかもしれない。
がしかし、東日本大震災クラスの地震に耐えられる性能をもっていないと現代の日本では建築許可が下りない。

町に出て朝方までお酒を飲むと楽しくて仕方ないが、翌日は二日酔いで夕方まで動けない。
「今日は残業で遅くなるからご飯炊いておいてね」と奥さんに言われたが、ゲームが楽しくて炊き忘れて奥さんが不機嫌に。
ゴミを出しに行ったらカラスにゴミ集積所を荒らされていて、清掃当番ではないけれど早朝から集積所清掃。

私の日常を披露しても誰の役にも立たないので本題に戻ろう。

要するに、災害やトラブルも頻繁に発生するなら対策が講じられる。
二日酔いになるとツラいのを知っているのだから、酒は朝まで飲まなければいい。
奥さんが不機嫌になると家の中が平和でなくなるのを知っているのだから、ゲームの前にご飯を炊けばいい。
カラスが来ると後から大変なのを知っているのだから、ゴミ集積所にカラスが近寄らないよう対策すればいい。

大災害が毎週発生しても困るが、私たちはこれまでに何度か大災害を経験できた。
コロナウイルスについても3年間毎日みんなで考えたから今の状況がある。
南海トラフ地震も首都直下型地震も発生していないから、どうなるかわからない不安があるけれど。

阪神淡路大震災と東日本大震災を経験したことで、大きな地震がくると住宅はどうなるかわかった。
国がルールを作ったことで、新築で建てる住宅においては地震の揺れでぺちゃんこになることはないといえる。
でも、津波で住宅の横っ腹にとんでもない荷重を受けたら耐えられない。

このような考察で行きついた住宅の耐震対策に対するトメ先生の考え方をまとめよう。

住宅の地震への備えはしっかり自分と向き合って

大きな規模の災害を経験したことで日本の住宅の耐震性は高くなっている。
地震が来ても倒壊してしまう可能性は低くなっているといえる。

最新最高級高性能耐震設備をつける前に…まずやらなければならないのはコレ。
図面通りにまじめに施工すること。

建築確認は図面通りに建てれば、100年に1度発生するクラスの地震で倒壊しない建物への建築許可だ。
だから、装備うんぬんの性能を上げる前に図面通りに施工することが重要。

住宅検討中の方は、ぜひ検討中の会社の施工管理体制を把握しておくといい。
現場監督が何人くらいいて、一人で受け持つ現場数はどのくらいなのか。

そして施工中の現場検査の体制も確認ておこう。
理想なのは第三者による検査を導入していること。

現場監督は現場で施工してくれる協力業者さんと毎日顔を合わせる。
お茶の時間はいっしょに缶コーヒーを飲んだりしてコミュニケーションをとっている。

だから、中には仲良くなりすぎて管理が甘くなる現場監督がいるかもしれない。
そこでいると安心なのが第三者検査機関。
おそらく今は住宅瑕疵担保責任保険の加入に伴って、保険事業者が第三者検査機関となっているはず。

いろいろ講釈をぶちまけてみたが、もう一度伝えておこう。

現代の日本の新築住宅は100年に1度の頻度で発生する地震で倒壊しない性能を持っていなければ建築許可が下りない。
さて、ここまで読まれた根気強い読者のあなたは、制振ダンパーについてどのように感じたであろうか。

たしかについていたら安心。
今風に言ったら、めっちゃ安心な制振ダンパー。
でも前提として図面通りの施工がなされていること。

あってもいいけれど、なくても大丈夫な制振ダンパー。
だって、建築確認が下りる基準は100年に1度の地震に耐えられることなのだから。

制振ダンパーをつけるための予算ねん出のために、お気に入りのキッチンのグレードを下げる。
イヤイヤ!お気に入りのキッチンをつけて制振ダンパーをガマンしたほうがいい家になるのではないだろうか。

UnsplashTysonが撮影した写真

営業さんの地震への不安をあおるセリフに振り回されないこと。
営業さんだって南海トラフ地震にしろ首都直下型地震は経験していないのだから。

地震発生後にそばにいるのは営業さんではないよ。家族だよ。
設備の検討時にはしっかり自分と向き合うことをおススメする。

まとめ

今回は「制振ダンパーいる?いらない?」について解説してみた。
制振ダンパーも大切だけれど、ご家族らしい生活が一番大切。

以下の記事ではつけようか、あきらめようか迷いがちな設備について解説しているので、こちらの記事も併せて読んでみて。
  食洗機いる?いらない?

住宅会社も不動産会社もWEBで情報を公開しているぞ。
気になる会社の施工管理はどんな具合か確認したい方も、
最新最高級高性能耐震設備がついていない建物でも大丈夫!」という気持ちになれた方も、
こちらで物件情報を確認してみてはいかが?

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制振ダンパーいる?いらない?」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 建売住宅と注文住宅の価格構成を比較してみた - 不動産のトメ先生

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