その情報知っていたら問い合せしなかったのに…
先日、マイホームの購入を検討している方から「購入前のアドバイスがほしい」と依頼されて相談に乗ったトメ先生。
ご依頼者様から「こんな物件が気になっています。どう思いますか?」というご質問をいただきました。
物件はSUUMOやHOME’Sに掲載された4~5物件でした。
さっそく、共有していただいた物件が掲載されたページのURLから物件を確認します。
そして、物件概要や画像からトメ先生の考えをまとめてお伝えしました。
すると、「ありがとうございました!やっぱり専門家に見てもらうと、画像だけでも私達では気づけないような点に気づけるんですね。」
と、ご依頼者様から大絶賛の感想をいただくことができました。
そんなに喜んでいただけるほどの助言ができたという自覚はないのですが、不動産業界で働くトメ先生が物件概要や物件の画像を見て、当たり前のように想像できるメリットやデメリット。
一般のみなさんには目から鱗の情報なんだということをあらためて実感したのです。
それならば、今回は不動産を探している時によく使うSUUMOやHOME’Sに掲載された画像を、トメ先生はどんな視点で見ているのか。
これを、みなさんに伝えられたらお役に立てるのではないかと思ったのです。
今回の解説を読んでマスターできるのは次のようなことです。
・不動産の画像はいい物件に見えるように撮影するテクニックがすごい
・不動産の画像は目で見るのもいいけれど頭で想像するのも重要
不動産屋さんには一度問い合わせをすると、はじめの内は希望に近い物件を紹介してくれます。
しかし、購入を見送ってばかりいると希望物件とは条件がかけ離れた物件を紹介してくるようになることも。
そして、しばらくすると何でもかんでも紹介してくるような業者さんもいます。
事前に物件のことをしっかり考察することで「その情報を知っていたら問い合わせなかったのに…」というのを防ぐことができるわけです。
ぜひ、今回の解説に目を通して頂いてSUUMOやHOME’Sをいつもとは違った角度から見てみてください。
【見学前のみなさんにおススメの解説】
この不動産業者で購入していいのか…。
担当になった営業さんとの相性はいいのか…。
見学前に読んでおけてよかったと評判の解説です。
【こちらの記事もおススメです】
大きすぎず…小さすぎない…。
微妙な規模の事業者は、企業としての体力がソコソコあるわけで。
だからこそ、みなさんの希望も通りやすいのです。
ぬいぐるみと一緒に写ったほっこり雰囲気な物件
ここでひとつおことわりです。
物件は購入先が決定すれば個人の方のお宅になります。
そして、SUUMOやHOME’Sに掲載された画像は不動産業者さんが販売を目的に掲載しているものです。
ですので、プライバシーの保護そして不動産業者さんの販促活動を阻害しないように、トメ先生の解説では画像のイメージを色分けでお伝えします。
それでは最初の物件を見ていきましょう。
まずはこんな画像です。
中央に対象物件の建物(濃いオレンジ)と対象物件の土地(薄いオレンジ)。
奥にお隣の建物(黄色)手前にお隣の土地(グレー)。
そして、対象物件の土地にはのぼり(青)があり、写真の左下にはかわいいぬいぐるみ(笑った家)が写った画像です。
ぬいぐるみ…その後ろには…
誰が見ても一番目がいくのは手前に写り込んだかわいいぬぐるみです。
みなさんは、なぜぬいぐるみが一緒に写り込んでいるかおわかりですか?
ぬいぐるみを一緒に写すことで、やわらかい雰囲気を醸し出して「ゴリゴリ系の不動産業者ではないですよ。」をアピールしている。
それも間違えていないと思いますが、トメ先生が推理するのは違った目的です。
このような画像を見て、トメ先生が考えるのは…。
「この、ぬいぐるみの後ろに写したくないモノがあるんだろうな」ということです。
物件紹介ページに写したくないものってどんなモノでしょう。
そこで、トメ先生が考えるのは以下のようなモノです。
- 敷地延長部分
- 前の建物から伸びる日陰部分
- 電柱
- 前の敷地から越境している樹木
- ただ単に、工事中の重機が写り込んでしまっている
コレさえ写っていなければ優良物件。
その「コレ」を隠すためにぬいぐるみを写り込ませていると推理したわけです。
そして、実際に物件情報にあった区画図を確認すると…。
いかがでしょう、トメ先生の想像どおり敷地延長の敷地だったのです。
敷地延長。
画像の中で、対象地のような形状の土地のことをいいます。
道路から敷地部分が、ぐいーんと伸びて奥にメインの敷地がある形状です。
ほかにも、路地状敷地(ろじじょうしきち)とか、旗竿地(はたざおち)などと呼ばれます。
不動産の基本で、敷地の形が整っている敷地を整形地といって、資産価値が高いとされます。
ひるがえって敷地延長のような土地を不整形の土地と呼び、整形地に比べると資産価値も低くなる傾向です。
資産価値が低いということは、販売価格も安くなるメリットがあります。
また、道路に直接面していないので、庭で遊んでいるお子様が道路に飛び出しにくいのもメリットでは…とトメ先生は考えます。
反面、路地状の部分が駐車スペースになるので、駐車は縦列駐車になります。
後ろの車がお出かけする時は、前の車が一度敷地からでなければならないなどのデメリットがあります。
敷地の形が不整形なため、パッと見の見た目が弱くなりがちな敷地延長。
しかし、分譲地の中では価格が一番安くなるのが特徴です。
分譲地で一番高額な区画が、見た目のインパクトも充分なのですが、価格が高いから問い合わせてくれる人が少ない。
どうしても建売住宅は価格が重視されるため、一番安い価格の区画を掲載することになる。
そうなると、掲載されることが多くなるのが敷地延長の区画なのです。
「おぉ!!探していたエリアで、こんな価格で建売が売られている!これはチャンス!」
と思った方が、画像を確認してみたところ…。
「な~んだ、敷地延長か…」
ではなく、「あの~、この物件見学できますか?」と不動産業者さんは問い合わせをもらわなければなりません。
物件写真の撮影時にどうしても写り込んでしまう敷地延長部分。
そこで、道路からカメラを物件に向けて、写り込んでしまう敷地延長部分にぬいぐるみを入れ込んで…。
営業さんが知恵を振り絞って、撮影している姿が目に浮かびますね。
【トメ先生の予言…】
近い将来、建売住宅は高級グレードと一般グレードの二極化がすすむ予感です。
ハウスメーカーの建売住宅は高級グレード…飯田グループの建売住宅は一般グレード。
その間に存在するミドルグレードの建売がなくなるのでは?という解説です。
のぼりのモザイク処理、その理由は…
この物件で、もうひとつ気になったのが画像の中央にあるノボリの部分がモザイク処理されていたことです。
営業さんのご自身の会社ののぼりだったらモザイク処理なんてしないと思いませんか?
おそらく、売主業者さんののぼり…。
もしくは、売主業者さんから販売依頼されている不動産業者さんののぼりだと想像できます。
さすがに人の会社ののぼりを外してしまうわけにはいきませんからね。
でも、トメ先生は営業時代にのぼりを立てている業者さんに連絡して承諾をもらって撮影してましたよ。
「広告用に写真を撮影したいのですが、のぼりを外させていただいてよろしいですか?」
「もちろん、撮影後はしっかり元に戻しますので」
てな感じです。
ほとんどの業者さんが承諾してくれるものです。
営業さんも効果的な画像を撮影するためには手間を惜しんではダメなのです。
のぼりが販売依頼を受けている不動産業者さんのモノの場合は、仲介手数料は負担することになります。
でも、売主業者さんののぼりの場合、直接購入すれば仲介手数料を負担しなくていいのですから、ムリは承知で一度は直接販売してもらえないか問い合わせるのがおススメです。
現地に行って、どの業者さんののぼりが立っているのか確認するべきだと思います。
【売主業者のしらべ方】
この記事で解説された方法で売主事業者を調べて…
「土地で購入したいです」と伝えれば…
そうです!仲介手数料を負担せずに土地が購入できるのです。
スマホの縦画面撮影…その理由は?
つづいて考察するのはこんな画像です。
中央に売買対象の建物(オレンジ色)、土地(オレンジ色)、ブロックとフェンス(オレンジ色)。
左下に道路(グレー)があって、売買対象の建物の右隣にお隣の建物(紫色)が写っている画像です。
スマホを縦画面で撮影する意味…
この物件で気になるのは画像の両サイドです。
スマホを縦画面にして撮影した画像なので、SUUMOやHOME’Sの画像が表示される領域とサイズが合わずに、黒くなっているのです。
SUUMOやHOME’Sの画像が表示される領域が横長であることは、不動産業界で働く人なら百も承知のことです。
最近の若い方はスマホでの画像撮影は横画面ではなく、縦画面の方が多いとは聞きますが…。
そうはいっても、SUUMOやHOME’Sは掲載するために経費が掛かっていることがあるわけです。
経費削減が叫ばれる昨今、若い方が縦画面で画像を撮ってきたら上司から「横画像で取り直してきて!」って言われると思います。
なぜ、横ではなく、わざわざ縦にして撮影したのか…。
ズバリ、トメ先生の推理はこうです。
両サイドにある、写したくないモノの存在
この写したくないモノをスマホを縦撮影することで写らなくすることができます。
横画面で撮影してトリミングすればいいじゃん…ってご意見もあると思います。
しかし、横撮影+トリミングではダメな理由が現場には存在するのかもしれません。
それがこちら…。
横画面で撮影してトリミングではダメな理由…
物件画像の右上に少しだけ見切れて写り込んでいる鉄塔…。
まず、これがしっかり写り込むのを避けたかった。
そして、対象物件の右側に写る隣の建物…。
画面の右下の方向…対象物件の前にせり出して建っているのです。
せっかくの南道路の物件ですが、東側の建物がせり出して建つことで午後にならないと陽が当たらない可能性があります。
この事実が写り込むのを避けたかった。
それと、敷地の形状…。
対象の土地が画面の中央から右方向にかけて斜めに細くなっていくような形状です。
おそらく、間口があまり広くなく、奥行きが長い、いわゆる「ウナギの寝床」の敷地形状が写るのを避けたかった。
奥行きのある物件なので、横画面撮影では今の撮影位置より後ろに下がった位置で撮影しないと建物全体が写らないのです。
しかし、横で撮影すると両サイドにある写したくないモノが写ってしまう。
そこで、縦画面で撮影したら建物はすべて画面におさまるうえに、写したくないモノが写り込まない。
こんな感じの推理にたどりついたわけです。
不動産屋さんが試行錯誤して優良物件に見せる理由
入り口のハードルを下げないと問い合わせが来ない
実は、SUUMOやHOME’Sに掲載している物件を契約してほしいとは限らないのです。
それでは、何が目的なのか?
それは、みなさんからの問い合わせ。
かなりの確率でコレが目的です。
SUUMOやHOME’Sに掲載している物件。
見た目はいいけれど、不動産屋さんにとっては仲介手数料や利益が少ない。
かといって、高額の仲介手数料や充分な利益が見込める物件となると、売買価格も高くなる。
そして、価格が高い物件をSUUMOやHOME’Sに掲載しても、たいして問い合わせがない。
こうなると、SUUMOやHOME’Sの掲載料ばかり負担することになります。
だから、SUUMOやHOME’Sに掲載する物件は、まず見た目がいいこと。
さらに、価格が安いこと。
入り口は「魅力的でハードルが低め」で設定されているのです。
【あわせて読みたい】
大きな買い物だから失敗が許されない住宅購入。
でも、多くの物件を見すぎてしまうと住宅購入を決断できなくなりがち…。
オバケの「百件見た郎」に取りつかれてしまう話を解説しています。
余談…トメ先生と老眼鏡
余談になりますが、トメ先生はひどい老眼でして。
老眼がさらにすすんだようで、普段使っている老眼鏡でも文字が読みにくくなってきました。
メガネってフレームから購入すると数万円をくだらないので、今使っているフレームはそのままで、視力を測定してもらってレンズだけ入れ替えてもらおうと思っていたんです。
そこで「鼻あての調整のみでも承ります」とGoogleマップに謳っていた自宅の近所にある有名チェーンのメガネ屋さんに行きました。
手元にあった老眼鏡3本を持参してレンズ交換を希望したのですが、「フレームが劣化している」「レンズのサイズが特殊」など、レンズ交換にもいろいろ条件があるらしく、結局フレームから作り直すことになりました。
メガネのフレームとレンズの事情なんて、トメ先生たち素人ではわからないじゃないですか。
メガネ屋さんからしたら、レンズ交換では販売しても利益が少なくてフレームから販売したほうが利益が多くなるのかもしれませんよね。
だから、Googleマップの店舗紹介やホームページ上では「レンズ交換だけでも」とか「鼻あての調整から」と低いハードルを前面に押し出す。
店員さんの営業トークもお上手でした。
ふむふむ…そういうものか…と結局2本の老眼鏡を新調することになったトメ先生でした。
目で見えるものがすべてではない
いかがでしたか?
SUUMOやHOME’Sの画像を見る時のコツが少しだけ掴めましたか。
トメ先生が生活するような地方都市では、横画面での撮影でも問題ない物件がほとんどです。
しかし、周囲の建物が超近距離に存在する大都市では試行錯誤のうえ画像を掲載する必要があります。
画像をご覧になって「なんで、こんな撮り方をしているんだろう」という部分に気づけることが重要になります。
とはいえ、こればかりは簡単に身につくスキルではありません。
トメ先生だって、業界に25年もいるから気づける点です。
不動産の素人であることを否定できないみなさんが、物件の画像からいろいろ気づけるようになるためには、とにかく物件をたくさんみることです。
でも、仕事をお持ちでご家族がいらっしゃるみなさんが、こんなスキルを身につけても、問い合わせの先には商談や交渉や駆け引きみたいなものが待っています。
実はトメ先生、あのスキルを売買するココナラで不動産相談のサービスを承っています。
あちらではトメ先生ではなく「ほーがん」というニックネームで運営中です。
よろしければ、ご利用ください。
ご自身で頑張ってみる!というみなさんには、物件情報を掲載しているサイトのリンクをご紹介します。
たくさん物件情報に触れて、不動産の掲載方法の傾向を掴むトレーニングをしてみてください。