建売住宅の値引き交渉は、うまくいく時期とうまくいかない時期がある

過ごしやすい季節…住宅探しをはじめようか

過ごしやすくなってきたからマイホーム探し…考えることはみんな同じ

値引きやサービスをたくさんしてもらってお得にマイホームを購入したい。

この記事を読んでいるのが春、または秋にさしかかる時期なら動く時期を考えたほうがいいですよ。

春や秋はマイホーム探しをしてもいいけれど、お得な購入を望むなら契約はしちゃいけない季節です。

なぜなら、暑さがやわらいで…涼しくなってきたし…と思って、

みなさんと同じように多くの方が動きはじめるのが9月から11月。

動き出す人がたくさんいる時期ということは、ライバルがたくさんいる時期だということ。

それは不動産業者にとってはお客さんがたくさんいる状態、値引きやサービスを頑張らなくても購入してくれる人がいる時期なのです

夏の値引き商戦も終盤…次のチャンスは冬…それも真冬

例年なら値引きやサービスが受けにくい時期

ちかごろの住宅業界…建売住宅が売れていない理由

今年は本当に住宅が売れていません。

  • コロナ禍でマイホーム需要の一巡
  • 少子高齢化による住宅購入世帯の減少
  • 価格高騰によって買いたくても手が出せない状況
  • 金利動向や経済情勢など将来への不安

以上のように、様々な住宅が売れない要素が、同時多発的に影響しているようです。

だから、不動産事業者には「購入意欲があるお客様には、とにかく売ってしまおう」という姿勢がみられます。

涼しくなってきたから…。

暖かくなってきたから…。

少しでもお得に購入しようと、みなさんが住宅探しに動き出すのを…

販売側の不動産業者さんは虎視眈々と狙っています。

お客様は動きだす季節、でも思うように建売住宅は売れない。

長年の不動産業界のロジックどおりにいかない昨今。

春先や秋だからといって、値引きやサービスが受けにくいというわけでもなさそうなのです。

建売住宅の見学前にSUUMOやHOME’Sの画像からわかること

建売住宅の見学前にSUUMOやHOME’Sの画像からわかること

一方で建売事業者のチキンレースが起きている

ちかごろの住宅業界は建売事業者のチキンレース

建売住宅がなかなか売れない状況なのに、販売中の建売住宅は結構ある。

飯田グループホールディングス系の低価格な建売住宅もあれば、最近では積水ハウスやタマホームなど注文住宅を取り扱う事業者まで建売住宅を販売しています。

販売する側にとっては、飯田系の建売住宅と注文住宅系の建売住宅では「グレードが違う」って思っていますが、購入する側にとっては飯田系であろうと、注文系であろうと建売住宅なわけです。

分譲地が同じエリアで競合していれば、購入者側は「あっちは〇〇〇〇万円で売っている」とか「こっちの会社は〇〇〇万円値引きしてくれる」と比較をはじめます。

これを自動車で例えるなら、1,000万円で販売している高級車と250万円で販売している軽自動車を比較して、「同じ自動車なのにこっちの自動車のほうが750万円安い」と言っているようなもの。

比較対象がズレているのです。

自動車ではありえない価格の比較が住宅では起きている

本来なら同じ土俵にはのらないはずの、グレードの異なる建売住宅。

でも、あまりに建売住宅が売れないため同じ土俵にのるケースも見られます。

どの会社がいちばん値引きしてくれるか…いちばん安く売ってくれるかという、終わりの見えないチキンレースがはじまっています。

【実録】建売が売れない現状…トメ先生の勤務先の場合

売らないはずのモデルハウスを売ってしまう始末

トメ先生の勤務先の現状をお伝えするとこんなかんじです。

トメ先生の勤務先は建売住宅が主力商品。

分譲地にたくさん建物を建てます。

たくさん区画があるような大型分譲地では、他の区画に先行して建物を完成させる区画があります。

なぜ先行して完成させるか…

注文住宅のハウスメーカーと違って、いつでも見学できる展示場を持たない建売事業者。

分譲地内に早めに建物を完成させて、見学用のモデルハウスにするのです。

モデルハウスですから生活イメージが湧きやすいように、家具、カーテン、エアコンなどをセッティング。

それもインテリアコーディネーターさんが選んでセッティングしてくるうえに、設計さんも気合を入れてプランするので、それはそれはオシャレな建物になります。

このモデル棟はたっぷりお客様に見学していただいて、分譲地のいちばん最後に販売する建物。

分譲地のモデル棟…本当は一番最後に
売ります

それまで、モデル棟を見学してもらってイメージを膨らませてもらって、分譲地内の他の区画を購入していただく…という思惑で用意しているのです。

モデル棟は販売するための建物ではないので、価格も決めていません。

でも、見学したお客様は「この区画、売ってくれないんですか?」ってなるわけです。

すべてが順調なら「あいにく、モデル棟なので非売品なんです」と自信を持って断る。

しかし、住宅がまったく売れない時期に現れた「購入意欲があるお客様」です。

こういうお客様にはとにかく売ってしまおう、というのが今の建売住宅の販売スタイルですから…。

そうです、分譲地のいちばん最後の販売まで残しておくはずだったモデル棟が、いちばん最初に売れてしまうという、販売戦略の理性が失われ、本能むきだしの結果になってしまう始末なのです。

売りたい…売ってしまいたい…売れればなんでもいい

結局、値引きもサービスも年がら年中なの?

問合せをしてくれたお客様に、他の会社の住宅を購入されてしまうくらいなら、自社の骨も身を削ってでも契約してもらう。

明らかな買い手優位の建売住宅。

なんだか一年中、値引きもサービスも可能な感じもしてきます。

値引きもサービスも希望通りに受けやすい状況ではあるものの、しっかり対策を考えなければ営業さんに値引きを回避されてしまいます。

つづいて、値引きやサービスをしっかり受けるための対策を確認しましょう。

値引きやサービスを希望通りに受けるコツ

気持ちの準備を…値引きが通ったら契約です
  • 値引き(サービス)が通ったら契約できますか?
  • なんで値引き(サービス)が必要なんですか?

値引きやサービスをお願いした場合、営業さんが返してくる質問です。

これは、日本中の不動産屋さんの営業マニュアルに載っているセリフです。

これらの質問にしっかり返事ができること、これが値引きやサービスを成功させるコツです。

値引きが通ったら契約できますか?

この質問をすることで、購入するみなさん側の状況がどんな状況にあるのか確認しています。

価格以外の条件は契約してもいいレベルに達している

もしくは、

100点満点ではないけれど、値引きが通るのであれば妥協できるレベル、だから契約してもいいレベルになっている

そして、みなさんが意識しなければならないことは、

値引きが通ったら契約する

ということです。

営業さんとの商談はチビッ子のお店屋さんごっこではありませんからね、オトナとオトナの商談です。

値引き交渉やサービス交渉はオトナとオトナの商談です

「値引きが通ったら契約してもいい」そういう気持ちになっているのであれば、希望に近い値引きが受けられるはずです。

なんで値引きが必要なんですか?

この質問は、少しでも値引きやサービスを抑えるための営業さんにとっての基本事項です。

物価の高騰に引きずられるように、不動産の原価も上がったため、販売事業者さんも以前のように利益を確保するのがむずかしい状況。

だから会社からも値引き抑制が至上命題なのです。

たとえば、住宅ローンの月々の返済額が、思っていたより6,000円高かったとします。

返済額6,000円分を値引きしする場合、およそ230万円くらいの値引きをしなければならなくなります。

230万円といったら、半年くらい売れなかった建売住宅では利益がほとんど残らない場合もあるわけです。


住宅ローンの借入額が100万円変わると返済額は2640円変わる

【住宅ローンの返済額の計算は簡単!】
住宅ローンの借入額が100万円かわると月々の返済額が2,640円かわる
これを覚えておけば、営業さんとの商談も安心です。


そこで、月々6,000円…1ヶ月30日だとしたら一日200円です。

セブンイレブンのおにぎりが税込みで189円。

「1日おにぎり一個分くらいの負担で、マイホームが購入できるんですよ!がんばりましょうよ!」

って感じに背中を押してきます。

1日おにぎり1個分…。

なんとかなりそうな気がしたりしなかったり。

とにかく、みなさんが意識しなければならないのは、

中途半端な理由だと営業さんの代替案で値引きが思うようにいかなくなるということです。

条件を持ち帰って返事は来週で…はNGです

値引きやサービスの希望を伝えて、営業さんが会社と交渉して希望に近い返事がもらえた。

「じゃ、家族でもう一度話し合って返事は来週で…」

これは、あまりよろしくありません。

営業さんは、これまでに返事を来週に延ばしたことで、何組のお客様がほかの会社に流れていってしまったことか…。

一度帰したらお客様は二度と戻らない。

これも不動産屋さんの営業マニュアルに必ず書いてあると思います。

きっと営業さんからこんな感じに質問が返ってきます。

「どんなことを話し合うのですか?」

話し合う内容が、来週までの一週間、時間が必要なことが誰が見ても明らかな理由ならいいでしょう。

となると…返事を来週にするための理由も準備が必要です

でも、多くの場合はこうなります。

「私、少し席を外しますから、ここで話し合ってみてはいかがですか?」

3時間後に返事が出せるのなら、いま返事が出せるはず。

明日返事が出せるのなら、いま返事が出せるはず。

来週返事が出せるなら、いま返事が出せるはず。

営業さんはYESなのかNOなのか…返事がほしいのです

「うぅ…これって八方ふさがりじゃない?」って思うかもしれません。

いえいえ、そんなことはありません「購入しません」という返事も可能なのですから。

営業さんの理詰めのワケ…

値引きが通れば購入できるくらいまで、購入意欲は熟している…。

住宅探しでは、なかなかそのレベルまで購入意欲が高まる物件には出会えません。

そこまで気に入ってくれているのなら、前に進みませんか?

住宅を購入している人は、みなさんここを乗り越えていますよ。

人生で一番高額な買い物となるマイホーム…。

住宅ローンを組んだら完済までに35年かかります。

背中を押す人がいなかったら、なかなか決断できません。

住宅購入は背中を押す人がいないと決断できません

子供をつくる、結婚する…。

人と人の間に新しい生命が宿る…なんとも神秘的です。

人と人が一生一緒に添い遂げる気持ちになる…大きな覚悟も必要です。

でもこういった人生の一大イベントはご自身の判断で決めてきたはず。

お父さんやお母さんに「子供をつくりたいから今夜SEXしてもいい?」なんて相談しないと思うんです。

人間の生命の神秘…。

人が人を思いやって一生添い遂げる…。

ご自身で大きな決断をしてきたみなさんなら、自分で一歩を踏み出せるはず。

営業さんは、前に踏み出せないみなさんの背中を押してくれる存在です。

それでも値引き・サービスの大チャンスを狙いたい

いつもは値引きやサービスが少なくなる9月から11月。

でも、建売住宅が売れていないから、いつでも値引きやサービスが受けられるかもしれないということを伝えてきました。

さらに値引きやサービスを大きく期待するなら、次のチャンスは真冬の閑散期となる2月です。

夏の値引き商戦も終盤…次のチャンスは冬です

涼しくなる秋は、お客様も動きやすいので目立ったキャンペーンは打ち出さない傾向です。

寒くなって年末年始がからむ12月以降、ふたたびお客様は「寒い」という理由で動かなくなります。

住宅の販売事業者さんは、なんとかしなければならないのでイベントやキャンペーンを打ち出してきます。

時期季節のイベントキャンペーンお客様心理
12月クリスマス、年末クリスマスキャンペーン
年末大決算
年末の忙しい時に住宅どころではない
1月お正月初売りキャンペーン
新年大売出し
正月で住宅どころではない
2月節分、バレンタインデーネタがない寒くて、寒くて、住宅どころではない
ごらんのとおり2月は集客のネタがない…おまけに決算間近

ということでぶっとい値引きやサービスを期待するなら2月頃の契約がおすすめなのです。

2月なら、売主事業者さんは決算に売上を組み入れることができるので、ここで契約しておくことは理にかなっています。

しっかり対策して納得いく住宅購入を

「住宅探しに動きやすい季節」と「値引き・サービス」の関係について解説してきましたがいかがでしたか?

ここで今日の解説をまとめておきましょう。

まずは、不動産業者さん、販売事業者さんについて…

  • 春や秋が近づいて「住宅探しがしやすいよね…」は誰もが考えること
  • 春や秋は、多くの人が動き出すから値引きもサービスの対応も控えめ
  • 建売住宅が売れていないので、一年を通して値引きもサービスも受けやすい状況

そして、値引きやサービスを希望通りに受けるための対策

  • 値引きやサービスが通ったら契約できますか?
  • なんで値引きやサービスが必要なのか具体的に説明できる準備

営業さんは、みなさんと商談をする前に契約までの商談をシミュレーションをします。

まったく対策を持たずに、商談にのぞんだら営業さんの思うつぼです。

難しいけれど、めんどくさいけれど、購入者側も準備が必要なのが現代の住宅探しです。

我が家はどんな住宅購入が希望なのか、ご家族で方針を決めたらシミュレーションしてみるといいですよ。


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