集成材の品質安定性に納得【工場見学してきた】

集成材について担当者から説明ありましたか?

暖かくなってきたので、マイホーム探しで不動産屋さんや住宅展示場に足を運びやすくなりました。
登場した営業さんが4月入社の新卒社員でびっくりしている方もいると思います。

そろそろ入社から1ヶ月、研修を終えて営業の現場に配属されたばかり。
もしかしたら、あなたが営業さんにとって記念すべき初めて担当するお客様かもしれませんね。


おつかれさまです、トメ先生です。
不動産業界に身を置いて24年目に突入したトメ先生です。
新卒君の研修対応中のトメ先生は、先日集成材の工場見学に行ってきました。

新卒君たちは、世間話でお客様との距離を縮めるような余裕はありませんから、
「建物は木造住宅で構造には集成材を使っております。」
研修で練習した商品の基本説明を頑張って披露する姿が想像つきます。

いまや、どの会社でも当たり前のように使われている集成材。
新卒君の建物説明ネタのスタンダードともいえる項目です。

みなさんの担当をしてくれた営業さんは集成材の説明キチンとできていましたか?
集成材と無垢材の違いを説明できていましたか?

勤務先では研修係ですので新卒君たちにも集成材について教えなければならない立場のトメ先生。

よーく知っているはずの集成材。

でも工場見学に行ってみて、新たな視点が持てました。
定休日なのでホントは家でダラダラしたいけれど、重い腰を上げて長野まで行った甲斐がありました。

営業さんもなかなか知りえない集成材のディープな部分を解説します。
読んだ後は、ますます「集成材なら安心かも」って思えるかもしれません。

大阪万博で使われる建材は「撮影禁止」

定休日の早朝7時前に勤務先を出発して向かったのは、長野県小県郡長和町にある斎藤木材工業様。
集成材の製造とプレカットを請け負っている事業者様です。

今回お邪魔したの集成材の製造と、特殊建築物向けの加工を行う工場。
 



作業場を移動する途中でところどころに、真っ白でキレイなどでかい集成材が横わたっています。
太さでいったらキッチンの冷蔵庫くらい、長さは20mちかいサイズです。 

この集成材、2年後の大阪万博で使われる構造材だとか。
とにかく大きい!
でもオトナの事情によって写真撮影はNGでした。

これまでだったら、このような大きな構造材といえば鉄筋コンクリートだったと思いませんか?
最近、国立競技場をはじめ、大型の施設でも木造が増えていますよね。
建材の性能や建築技術の進歩で大きな空間を木造でも支えられるようになっている証だといえます。 

準備の遅れや盛り上がりがイマイチな報道が目立つ大阪万博ですが、しっかり準備が進められているところもあるようです。 

とにかく、コンクリートや鉄骨で作られていたものと同等の信頼性が集成材には期待できるということ。
いまや、ほとんどの住宅が構造には集成材が使われている理由がわかるような気がします。

集成材を構成する板を一枚一枚検査しています

集成材が丸太から板状に切り出した木材を貼り合わせて製造されるのはご存じですよね。
工場には木材から水分を抜く乾燥中のもの、乾燥も終わり貼り合わされるのを待機するものなど、たくさん材木が整然と積み上げられています。

どの木材にも発注元やサイズ、発送先などが記載されていて、北は北海道から南は沖縄まで斎藤木材工業さんの集成材は全国で需要があるのがわかります。

画像にあるような板状の木材が貼り合わされます。 

みなさんご存じでしたか?
この板状の木材、一枚一枚がしっかり検査されてから貼り合わされること。

検査の目的は含水率のチェック。
含水率ってのは木材の中に含まれる水分の割合です。

水分を多く含んでいると、水分が抜ける過程で木材に変形などのくるいが生じてしまうのです。
含水率は15%以下で検査をクリア。
これらが貼り合わされる工程に進み、含水率が15%を超えているものは再び乾燥の工程にまわります。

この20年以上、トメ先生は集成材の形状になった段階で含水率の検査をしているのだと思っていました。
なんと、一枚一枚とは…びっくりです。

このようにして含水率が安定した状態の木材で集成材になっていくのです。

両サイドから圧力をかけて接着

含水率検査を通過した板状の木材は、接着剤を塗られて貼り合わされます。
接着剤には乾燥後目立たなくなるものと、乾燥後もこげ茶色のものがあるそうです。

説明では何度も接着剤の名称が登場したのですが、どの工程を見ても感心しきりのトメ先生は、メモを取るのを忘れ、長いカタカナの接着剤の名称を記憶できるわけもなく。
覚えているのは透明な接着剤とこげ茶色の接着剤という特徴だけ。

あ…あとは、透明な接着剤は、昨年使用の認可が下りたばかりだとか。
透明になるだけに見た目がいいわけで、価格も少し高いようです。

接着は板の束の両サイドから圧力をかけます。

画像では一部しか写っていませんが、この集成材も長さが13mって言っていました。
画像でいったら右上方向と左下方向に集成材が存在します。

両サイドからの圧力は1㎡あたり10㎏とか15㎏の力。
集成材が大きいほど圧着時間も長くなるそうです。

この圧着によって木材のサイズも縮むそうですよ。
縮んだ後の寸法が実際に使われるサイズになるように計算されています。

この機械では、冒頭振れたような太さが冷蔵庫サイズの集成材も接着可能だとか。
「ははぁ~」と感心しきりで、細かい数字を覚えていません。

きちんと強度の検査もあります

集成材が規定どおりの強度になっているかの検査もしっかりあります。
作業工程ではなく、サンプル検査になるようですが検査ルームがあったので見学させていただきました。

今度は検査に興味を持ちすぎてしまい、画像すら残せていませんので手作りの図でご勘弁を。

検査は集成材を台座に架けるように設置して、上から圧力をかけます。
圧力が強くなると「ボン!」とか「ドッ!」という鈍い音がして集成材が割れます。

この強度がJAS(日本農林規格)で定めた強度であることが必要なのです。
この検査では木材そのものの強度というよりは、接着面からの破壊が起こっていないか確認するのだそうです。

検査室にはこれから検査されるのでしょうかね、集成材が保管されていました。

…こういうのは画像に残ってました。

技術の粋!フィンガージョイント

集成材のフィンガージョイントってご存じですか?
集成材をよくみると板と板をつなぎ目が存在するものがあります。

集成材の材料となる木の高さには限界があります。
そこで、木材と木材をつなぎ合わせて必要な長さにするのです。

そのつなぎ目に施された加工をフィンガージョイントと呼びます。

また画像がないのでお手製図で解説ですが…。

木材の端っこを図のようにクシ状に加工します。
製造ラインでは、クシ状の刃がブルルルルルルルルルと稼働しています。
この形状の刃が木材をバリバリバリバリと加工してフィンガージョイントの形状にします。

フィンガージョイントとなった木材同士は、手の力ではめ合わせただけですでに抜けなくなっています。
見学では説明用のフィンガージョイントで説明していただきましたが、何度も使っている説明用でも一度はめると抜くのが大変そうでした。

あとこれは覚えておいてください。
フィンガージョイントの頂点の部分には、相手の木材との間にピンホール、ちっこい穴が生じるそうです。

これはフィンガージョイントの特性上避けられないことで、ピンホールを埋めようとして押し込んでみても、押し込んだ先っちょにはピンホールができるそうです。

安定した品質が集成材の特徴

現代の木造住宅。
構造に使われる建材は集成材が主流です。

一本の集成材を作りあげるため、検査に検査を重ねて定められた品質にする。
今回の工場見学であらためて品質の均一性について認識が深まった気がします。

よく「集成材と無垢材はどちらが強いですか?」という質問がありますが。
トメ先生の答えは「強いのは無垢材。でも弱いのも無垢材」です。

集成材は解説でご覧になったように、工場の製造ラインで作り上げられる工業製品です。

町の中を走るプリウス。
トヨタの工場ではどのプリウスも同じ品質のものができあがる。

みなさんの大好きなスマートフォン
iPhoneの製造工場では、どのiPhoneも同じ品質のものが作られます。

集成材も同じように工業製品です。
規定通りの品質のものでなければ市場に出せない。
だから品質が安定しているのです。


かたや無垢材。
自然界に生えている木から木材を作り出す。

同じ樹種でも、中には集成材ははるかにしのぐ強度を持つものがあります。
しかし、その逆に集成材より強度が弱いものも存在する。

そうです、品質が安定しないのです。

地震や台風などで構造に荷重がかかる場合に、強い部分と弱い部分が存在すると荷重は弱い部分に集中します。
そして、弱い部分から破壊される。

これを防ぐために、構造の強度を均一にする。
建物全体で荷重に耐えるバランスを重視するのが現代の建築です。
集成材なら、品質が安定しているのですべての柱でバランスよく荷重を支えられそうな気がします。

次回、住宅展示場に見学に行って、新卒君っぽいフレッシュな営業さんが登場したら、集成材のディープな部分を教えてあげたらいかがでしょう。

ここまで先日の工場見学で感じたことを解説してみました。
いまや当たり前となりすぎた集成材。
詳しく説明を聞くことはないと思います。

でもマイホーム探しには設備やデザインも大事だけれど、基本となる構造も大事ですよね。
集成材についてディープな部分まで知識が身についたら、安心して住宅探しもできそうです。

気になる住宅メーカーがどんな材料で、どんな構造なのかも気になります。
毎日忙しいみなさんは、なかなかすべてのメーカーを訪問するわけにもいきませんよね。
ハウスメーカーの絞り込みも簡単ではありませんし…。

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