建売住宅は値引き可能
結論からお伝えすると建売住宅の値引きは可能です。
2022年秋ごろから2023年初頭の現在まで、建売住宅は思うように販売数が伸びていません。
そこで分譲業者も他社で契約されるくらいなら自社で購入してもらうほうがいいので、お客様の要望を受け入れてもらいやすい動向といえそうです。
しかし、商談の相手は百戦錬磨の営業さん達です。
彼らが取り扱う商品は、おそらく私たちの人生で一番高い買い物となる代物。
「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」孫氏の兵法にあるように、こちら側としても値引きを希望するにあたっては、それなりの対策が必要となります。
そこで今回は値引きをお願いする前の対策として3つのポイントを解説させていただきます。
週末に控えている商談のクライマックスに向けてご活用ください。
値引きを希望するには具体的な理由が必要
ひとつめの対策。
値引きをリクエストするには「なぜ値引きが必要なのか?」に対する具体的な理由が必要です。
具体的であることがとても重要です。
「なんとなく」「もっと安く」のような抽象的な理由の場合、営業さんは値引きをしなくても納得してもらえる要素を、これまでの経験と知識の引き出しの中から素早く取り出して、代わりとなる提案をしてくる傾向があります。
たとえば、具体的な理由がない場合の営業さんとお客様のやりとりはこんな感じです。
客:「値引きしてほしい。」
営:「なぜ値引きしてほしいのですか?」(←実際にはもっとスマートに聞いてくる)
客:「だって、高いじゃん。」
営:「高いと感じる理由は?」
客:「いや、なんとなく」
こういう展開の場合、営業さんはお客様が決断に至らない理由は価格以外にあるとわかってしまいます。
そのあとはこんな展開です。
営:「もしかしたら、この商品でお気に召さない点というか、不足している点があるのではないですか?」
客:「じ…実は、もうチョイ陽あたりがよければな~なんて思ってるんです。」
営:「そうですよね~、でも陽あたりいいお隣の区画は成約済みなんですよ。」 「ここから駅の方向に1㎞ほどのところの物件なら陽あたりもいいですけれど、ここより300万円高くなります。」
客:「300万円かぁ…」
営:「住宅ローンの返済額はこんな感じです。」
客:「うわっ、さらに高くなった。」
営:「ご希望の小学校に通えて、午前中は少し陰りますが南道路、住宅ローンの返済も理想通り。」
客:「………。」(グゥの音も出ない…)
ではどうしたら具体的な理由となるか。
比較対象があるといいかもしれませんね。
たとえば今住んでいるアパートの家賃と住宅ローンの返済額の比較なんて具体的でいいですね。
毎月、家賃を支払って生活をしているのですから、家賃と同程度の毎月の返済額だったら家計管理がシミュレーションしやすくないですか。
客:「ローンの返済額が今の家賃から1万円上がってしまうとキツいです。これから子供たちにもお金はかかるでしょ。」
営:「たしかにそうですよね。」
客:「ローンの返済額を家賃と同じくらいまでにするには、いくらくらいの物件価格になるんでしょう?」
営:「計算してみましょう…。(計算の結果)だいたい〇〇〇〇万円ですね。」
客:「あぁ、そのくらいだといいですね。今の家計管理を継続すればいいし。そのくらいの金額にならないでしょうかね?」
こんな感じのやりとりができると理想的です。
あとは…マイホームを購入後、自動車や家電などの大きめの買い物が控えているなんて理由も具体的にできそうです。
住宅ローンのシミュレーションが出ていることが前提ですが、月々の返済額が10万円だとします。
マイホーム購入の後は車検を迎える自動車を買い替える必要がある。
家族でお出かけする時や買い物に便利な大きさの自動車を購入するのにローンを組む予定。
自動車の月々の返済額が2万円だとします。
客:「住宅ローンと自動車の返済を合わせると、毎月12万円の返済。パパのお給料の3分の1が返済というのは大変です。」
営:「たしかに、少々お給料に占める返済割合が高目かもしれませんね。」
客:「マイホームが安いものではないことは理解しています。でも家と自動車の返済が10万円くらいになればねぇ。」
なんて感じの展開でしょうか。
自動車のところを「お子様のための貯蓄」とか「お子様の習い事」とか別の要素に入れ替えられますよね。
それでも具体的な理由が思い浮かばない場合は、今お考えの値引きをしてほしい理由にご自身で「なぜ?」と3回くらい問うのもいいかもしれません。
値引きしてほしい
なんで?
そんなに住宅ローンを払いたくないから
なんで?
生活がギリギリになるのは困る
なんで?
物価が上がっているのにお給料はあがらないし、今のお給料をベースに将来を考えないと…。
なんだか具体的な理由にたどりつけそうですね。
とにかく、値引きのリクエストをする場合には具体的な理由です。抽象的はダメですよ。具体的です。
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値大きな会社は値引きを受けやすい傾向です。
しかし、大きすぎる会社だとそうとも言えず…値引きやサービスを受けるのにちょうどいい会社の規模があるのです。
値引きをリクエストするからには決断を促される
ふたつめの対策です。
値引きをリクエストする場合、営業さんから次のように確認されます。
「ご希望通りのお値引きができれば、ご契約ということでよろしいでしょうか?」
ここで「はい、お願いします」という返事がでなければ値引きには応じてもらえません。
なぜなら営業さんにとって、値引きは最終手段だからです。
建売住宅を販売する事業者はボランティア活動をしているわけではないからです。
下世話な話ですが、事業者にとっては利益が出てなんぼの話なのです。
消費者サイドの考えでは、不動産は高額商品なので一棟販売した時の利益も大きいのでは?と思われるかもしれません。
ところが建売住宅というのは、完成した時点を境に毎日何かしらの経費がかかっていて利益が削られているのです。
今日、値引きをしたら購入してくれるお客様と一週間待ったら値引きなしで購入してくれるお客様がいるとしたら、
事業者によっては後者を選択する可能性もあるのです。
仮に最終手段の値引きに応じることになったとします。
「それではご契約を…」と話をすすめようとしたら、
あそこの収納が…前面道路の広さが…親への確認が…などと条件が出てくるようではダメなのです。
そんなことになれば、商談後、営業さんは上司の説教部屋行きが決定したと言っても過言ではありません。
会社によっては値引きの判断は、営業さんどころか上司でもなく、役員や社長の決裁が必要となりますからね、
追加で、ああでもない、こうでもないの条件が出るようでは値引きに応じてくれないのです。
ですから、お客様側としても値引きをお願いする時には決断を迫られるということを頭に置いておくこと。
そして価格のほかに、気になることや条件が整っていないことがないか、商談を整理したうえで値引きをお願いしましょう。
ガキの使いではなくオトナの商談を
最後にみっつめの対策です。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と論語にあるように、度が過ぎる値引きは控えましょう。
あまりに過度な値引きをリクエストした場合、
上司や会社の判断で、またはスキルの高い営業さんの場合は営業さんの判断で、
「条件を合わせることは難しいので、今回の物件は見送りましょう」と商談が終了になることがあります。
営業さん側に一歩引かれてしまうということです。
一歩引くことで、のどから手が出るほど物件がほしいお客様なら値引きが抑制できるという考えもあれば、その値引きを受けてしまっては、事業として成り立たない場合もあります。
どちらに当てはまるのか、それは私達にはわかりません。
仕方ないことですが駆け引きの面では、営業さん側が一枚も二枚も上手です。
また、これを逆手にとってこちら側から一歩引く手もあります。
「条件が整わないのなら残念ですが、今回は見送ります」と引く姿勢を見せるのです。
ここで営業さんが「そうですね見送りましょう」と商談を終了するようでしたら、値引きが許容範囲を超えているのだと思います。
営業さんが、いったん席をはずして上司に報告に行ったりする場合は、値引きが許容範囲のギリギリくらい、つまりいい線を捕えているのだと思います。
お客様側からの駆け引きは、なかなか難しいですが、興味があればトライしてみてください。
もうひとつ注意事項を
今や不動産業者はスムーズに契約に至るために様々な策を講じます。
規模の大きな会社であればあるほど、外部の専門家の手を借りて値引き抑制します。
お客様から値引きのリクエストがある。
値引きに応えると、会社側には利益が出ない。
そんな時のひとつの手段として、外部から懇意にしているファイナンシャルプランナーを呼んだりします。
現在の家計の収支を診断し、加入している保険を見直して、保険料の支払額を抑えた分を住宅ローンに回す。
一度家計の収支の診断を受けてみたかったという方ならありがたい話ですが、次から次へと外部の専門家が現れることに辟易する方もいらっしゃいます。
いらないサービスは、はっきりと「いらない」と言える姿勢もスムーズな住宅購入には不可欠です。
値引きは可能だけれど対策をしっかり
いかがだったでしょうか?
建売住宅の購入に値引きは可能であることがご理解いただけましたか?
でも値引きを受けるためには対策が必要でしたね。
まずは値引きが必要な具体的な理由を準備しましょう。
具体的な理由が思い浮かばない場合は、漠然とした理由に自分で「なぜ?」を問いかけてみてください。
つぎに、値引きをお願いするということは、セットで決断が必要になるということ。
大きな決断になると思いますが、毎年数十万世帯のご家族が決断していることです。
背中を押してくれるのも担当の営業さんです。
そして、不動産の取引はオトナの商談だという意識を持って。
大人げない過度な値引きのお願いで営業さんに引かれてしまわないように。
オトナのたしなみを持ち合わせて商談にのぞみましょう。
私の経験談ですが、私は17年ほど前にマイホームを購入しました。
建売住宅ではなく土地を自分で探して、勤務先で注文住宅を建てました。
我が家の土地は、住んでいるエリアでは人気の一等地で、それはそれは高額な土地でした。
現在の販売価格と比較しても倍近い価格で購入しています。
でも、購入から17年経過しますが価格が高かったことを後悔したことは一度もありません。
高かったという認識はもちろん持ち合わせています。
しかし、利便性が高くて生活も楽だし、駅にも近いし、陽あたりもいいし。
周囲の人からも「ホントにいい所だよね!」なんて言われてうれしいし。
みなさんが検討している物件が、本当に欲しいエリアにある物件で、そこに住んだご自身を想像するとワクワクするのなら、その物件は絶対に後悔しない物件ですよ。
しっかり対策して満足のいく取引ができますことをお祈りしております。
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