建売住宅の土地と建物の価格の内訳

内訳はあってないようなもの

建売住宅の土地と建物の内訳ってどうなってるの?
結論からお伝えしよう。
建売住宅に土地と建物の価格の内訳はあってないようなものなのだ。
経理上の処理が必要なので土地の価格も建物の価格も存在するがあくまでも便宜上存在する。
なかなか一般の方にはご理解いただけないが、今日はそのあたりを解説しようと思う。

ハンバーグとハイボールと自動車に例えて説明したから少しはわかりやすいかも…。
いや…よけいにややこしいかも…。
そんなことはないか…。

土地と建物を販売しているのだからそれぞれの価格があるように思うがないともいえる。
建売住宅は土地付建物と呼ばれる。
その名のとおり土地と建物でひとつの商品なのだ。

だから価格も土地と建物をセットにして決まる。
建売住宅でお客様からの問合せを受けて
「この商品は土地はいくらなんですか?」と聞かれることがある。

これは、ファミレスに行って「ハンバーグに添えてあるポテトはいくらですか?」とか、
居酒屋でハイボールを頼んで「このハイボールの炭酸はいくらですか?」とか、
自動車ディーラーで「この車の窓ガラスはいくらですか?」と聞いているようなものなのだ。

ハンバーグセットは鉄板にハンバーグが乗ってポテトやニンジンが添えられてひとつのセットだし、
ハイボールはグラスの中でウイスキーを炭酸で割って氷が入ってひとつのハイボールだし、
自動車は窓ガラスがついてエンジンが載って、あらゆるパーツが自動車のカタチになってはじめて自動車なのだ。

建売住宅もこれらと同じで土地と建物でひとつの商品になっている。
これがポイント。

土地で契約できるし建物で契約できるからややこしい

不動産の情報を見れば売地として土地だけで販売している不動産がある。
建物は注文住宅で建物だけを契約(購入)することができる。
だったら土地も建物もそれぞれの価格を出すことができるのではないか。

そりゃ出せる。

ハンバーグセットに添えられたバターコーンだってスーパーに行けば198円の缶詰がある。
ハイボールだってスーバーで炭酸を78円で購入できる。
自動車だってタイヤを一本7,000円とか8,000円とかで購入できる。

でもバターコーンとポテトやニンジンとハンバーグを併せてハンバーグセットであり。
ウイスキーと炭酸と氷を併せてハイボールであり。
タイヤが4本ついてエンジンが載っていてハンドルがついていて…自動車なのだ。

建売住宅も同じ。
土地と建物をセットで建売住宅。
それ以上でもそれ以下でもない。

だから建売住宅の購入を検討中の方は、価格の内訳を知りたいと思う以前に認識の準備が必要かもしれない。

土地と建物の内訳を出す必要がある

しかし、建売住宅を販売する事業者は経理処理をするために土地と建物の価格を出さなければならない。
経理上、地主から仕入れた土地をいくらで販売し、利益がいくらでたのか計上する必要がある。
同じように木材を仕入れて、基礎を作るのに生コンや鉄筋を仕入れて、サッシを仕入れて、照明設備を仕入れて、これらを組み立ててひとつの家にして、いくらで販売して、いくらの利益が出たのか計上する必要がある。

お客様のためというよりは、経理上の都合で土地と建物の価格を決める。
ではどのように決めるのか。
これは事業者によって考え方や決め方は様々なので、これが正しいという方法はないのだ。
だからややこしくなる。

それともうひとつ、不動産事業者が売主となって建売住宅を販売する場合、建物には消費税を課税しなければならない。
土地は非課税で取引できるので消費税を算出する必要はない。
事業者は消費税を納税しなければならないので建物価格を算出する必要があるのだ。

ちなみに、売主が個人の場合は土地も建物も非課税なので消費税はかからない。

土地と建物の内訳を決めるために「こうしなきゃダメ!」というルールは特にない

私の勤務先の場合

年間で400棟から500棟くらいの建売住宅を販売する会社だが、販売するエリアは、とある地方の4県にわたる。
地方の4県、それなりに広いエリアだ。

土地相場をもとにした場合の不都合

土地には地域ごとに相場というものがある。
この土地の相場をもとに土地価格から算出する方法もあるようだが…。
地域の相場で土地価格を決めてしまうと、私の勤務先のような会社だと地域ごとに建物の価格が変わることになる。

私の勤務先では、建物については基本的に販売エリアごとに仕様は変えない。
すべての販売エリアで同じ仕様の建物を建てているので建物の装備や設備に大きな差はない。
仕入れは本部で行うので、仕入れ先の事業者も変わることはない。

そういう事情があるのに、地域によって建物価格が異なるというのは税務上のツッコミどころになるようだ。
税務の事情は詳しく知らないが、儲けに矛盾が生じるとなにかとややこしそうなので、この方法は採用していないのだ。

そこで私の勤務先の場合、建物の価格はすべてのエリアでほぼ統一している。
販売価格から建物価格を差し引いた残りが土地価格となるわけだ。
この土地価格が販売エリアの土地相場と極端に差がなければ統一の建物価格となる。

ちなみに、土地価格が相場に比べて極端に安くなってしまった場合や、高くなってしまった場合。
住宅ローンの審査に影響することがあるため、建物価格を調整することはある。

年間で400棟も販売するのに、一棟ごとに土地価格と建物価格を算出していては効率がよろしくない。
そこで、便宜上建物価格を均一価格にして内訳を決めている。

ただしこれは一例で、一棟ごとに価格を算出する方法でもそれはそれで正しい算出方法なのだ。
だからややこしい…。

内訳をどのようにでもコントロールできる

例えば建売住宅を3,500万円で販売しているとしよう。
お客様から土地と建物の価格の内訳を聞かれたとする。
そこで経理上の都合で算出されている価格をお客様に伝える。

「土地価格が2,200万円で建物価格が1,300万円。合計で3,500万円です。」

そうするとお客様から
「土地の価格が高いよ~!このあたりの土地はそんなに高くないよ」と言われる。

そこでこちらが
「そうですか、どのくらい高いでしょう?」と聞き返す。

お客様が
「200万円か300万円くらい高いと思うよ」と返答がある。

こういう場合、売主となる販売事業者は土地価格を1,900万円、建物価格を1,600万円に変更することもできるわけだ。
あくまでも土地付建物というセット商品。
土地と建物で合わせて3,500万円の商品なのだ。

どちらも販売価格は3500万円、土地と建物で土地付建物。それが建売住宅なのだ。

価格の内訳を知りたい理由

お客様が建売住宅の価格の内訳を知りたい理由。
それは適正価格で構成されているか知りたいからだと思う。

ここでもファミレスのハンバーグランチで例える。
980円のハンバーグランチで、価格のうちバターコーンが200円だったら納得するのか、30円だったら納得すのるのかということではなく、ハンバーグランチで980円が適正価格かどうかと考える。

480円のハイボールなら、価格のうち炭酸が300円なら納得なのか、60円なら納得なのかということではなく、ハイボールで480円が適正価格かと考える。

3,500万円の建売住宅も同じだ。
土地が3,200万円なら納得するのか、400万円なら納得するのかという視点ではなく、このエリアで販売する建売住宅が3,500万円で適正価格かどうかという見かたが必要なのだ。

3,500万円が高いと感じるのであれば、3,500万円に対して値引きを希望するのが正しいと思う。
もちろん値引きを希望するには具体的な理由が必要となるが。

値引き交渉を効率よくすすめるためにまとめが記事はこちら

建売住宅を値引きしてもらうための3つの対策

決算間近になると値引きしてもらいやすくなるのか?解説した記事はこちら

建売住宅と値引きと決算のはなし


土地付建物の価格の内訳はあるようでない

いかがだっただろうか。
建売住宅の価格についてご理解いただけただろうか。

ここで私が解説した内容は、日本中どこでも共通の認識ではないので併せてご理解いただきたい。
建売住宅を主力商品として販売する会社に勤務して23年になる私が、これまでの経験を踏まえてたどりついたものだ。
ひとつの参考としてご理解いただければ幸いだ。

他にも根拠を示して土地と建物価格を算出する方法の解説を目にするが、そちらはそちらで間違いではないと思う。
土地と建物を併せて販売する建売住宅。

価格についての認識が持てたら実際にどんな商品があるのか、ハンバーグでも食べながら確認してみてはいかがだろう。
情報が探しやすそうなサイトを選んでみたのでチェックしてみよう。

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