建売住宅の購入時の注意点…敷地の境界について

建売住宅は購入前に必ず境界の確認を

気になる建売住宅がある。
週末、見学に行ってきて購入しようか迷っている建売住宅がある。
すでに契約は済んでいて、引渡し準備中の建売住宅。

いずれの段階であっても、
みなさん敷地境界…しっかり確認できていますか?

マイホームの購入だからといって、
建物ばかりに意識がいってしまっていると土地の確認はおろそかになりがちです。

まだ敷地境界を確認していない方、
営業さんから説明はあったけれど気に留めていなかった方。


今は問題なくても、数年後いや…数十年後に問題になることがあります。

購入前、
引渡し前ならまだ間に合います。
敷地の境界はしっかり確認しておきましょう。

みなさんが購入するのは所有権

土地と建物という目に見えるモノを購入するので意識することはあまりないと思いますが、
みなさんは土地と建物の購入と一緒に所有権を取得することになります。

営業さんとの商談ではほとんで耳にすることのない「所有権」というワード。
それなのに契約書にはやたらと「所有権」というワードが現れます。

地球上の陸地には国と国のあいだに国境線があるように、
土地と土地のあいだにも境界線が存在します。

今のチビッ子はどうなのかは知りませんが、
昭和のチビッ子は思春期を迎えると男女間で異性を意識するようになり、
隣に並んだ机の真ん中にお互いに仮想の境界線をつくって

「こっちにはみ出るなよな!」とか
「そっちこそノートの端っこがこっちにはみ出てるんだけど」と

なんてやり取りした記憶がありませんか?

あれのオトナ版が敷地境界です。


「ココからココまでが私の土地よ」
「ココからココまでがオレの土地だぜ」

学校では半分おふざけでしたが、
オトナになるとおふざけというわけにはいきません。
この敷地境界で示された土地の住宅ローンを支払うわけですし、
この敷地境界で示された土地の固定資産税も支払うわけです。

敷地境界は所有権の範囲を示す重要なもの。
国と国の間に存在する国境も重要なもの、
国境がはっきりしない場所が世界中にはありますが、
「じゃ、この線からこっちがウチでよろしく」
なんて簡単に話が整いません。

国境問題のような敷地境界の問題が起こらないように、
建売住宅の敷地境界はしっかり決められています。
根拠となる資料もきちんと作られています。

このフェンス、誰が修理すんの?

「ウチと隣の家の間にあるブロック塀は、ウチの物?隣の物?」

トメ先生の勤務先にかかってくる電話で半年に1度はこういった問い合わせを受けます。
たいていはお隣の敷地との間にあるブロックやフェンスに自動車をぶつけてしまったりして修理が必要になるケース。
自分でぶつけてしまったのなら自分で直せばいいけれど、

朝起きたらフェンスが壊れていた…

というような誰がいつ壊したかわからない場合。
お隣との間にあるこのフェンス。

「誰が修理するの?」ってことになる。


結論、修理の負担を負うのはブロックとフェンスの所有者です。

ブロックとフェンスが自分の敷地内にあるのなら、
その土地の所有者がブロックとフェンスの所有者です。

たまにあるのが、
お隣と、こちらの土地の中心にブロックとフェンスがある場合。

こういう場合は、お互いに費用を負担して共同で修理する必要があります。
朝起きたらフェンスが壊れていた。

壊れていたことに気づいた方も困るでしょうけれど、
フェンスが壊れていることに気づいていないお隣の方にしてみたら
藪から棒もいいところです。

建売住宅を購入してしばらく経ってからこんなことがよくあるわけです。
だから、敷地の境界は早い段階でしっかり把握しておいたほうがいいのです。

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敷地の確認は測量図と現地を照合

では敷地境界を確認するにはどうしたらいいか?
ケースごとに解説しましょう。

見学段階の方の場合

まだマイホームを探している段階の方ならば、

建物に意識するのと同じくらい、敷地境界にも意識を向けましょう。

分譲地の見学に出かけたら、
営業さんに言われるがままに、すぐに建物の中に入ってはダメです。

まずは外側から区画全体を見渡す。
区画を仕切るブロックとフェンスに意識を向けてください。

ブロックの端っこと端っこが出会う点には境界点を示す「境界標」が存在します。

画面右側は石製の境界標です。
上面に刻まれた直線の中心が境界を表しています。

外面左はプレートの境界標。
矢印の頂点が境界を表しています。

他にもプラスチック製の境界標や、直径3㎝くらいの鋲で示される境界標などがあります。

境界標は境界を示す線と線が出会ったところにあるので、
四角形の土地ならば4か所。
五角形の土地ならば5か所。
敷地延長(旗竿地)ならば6か所。

分譲地では建物の確認だけではなく、しっかりと境界の位置を確認しましょう。


購入希望の物件が決まっていて見学が済んでいる方

まずは、担当の営業さんに「敷地の境界を確認したい」ことを伝えます。

ココ重要なポイントです!
営業さんはめんどくさがりなので注意が必要。

現地で立ち会って「ココとココです」なんて説明しかねません。
強者になると「あぁ、現地に境界が入れてありますから自由にご覧ください。」なんて輩も。

根拠となる資料。
現代風にいうとエビデンスを用意してもらって。

ご自身で判断するのではなく必ず立ち会ってもらうのがいいでしょう。
繰り返しますが営業さんはめんどくさがりです。
「忙しいのにめんどくせぇなぁ…」と心の中でボヤくでしょう。
それが態度に表れてしまう残念な人もいます。

でも、多くの営業さんが引き渡しまでのお付き合い。
そのあとは、きっと挨拶にも来ないでしょうから、
ここは割り切って境界の確認です。

すでに契約済みで引渡し準備中の方

基本的な対応は「物件が決まっていて見学が済んでいる方」の対応と同じです。

注意しなければならないのは、すでに契約が済んでいるので、
境界標が存在しない…とか、
境界の位置が図面と違う…など、
そういうことがあっても後戻りが難しいということです。

このまま契約を進めるのか、
契約を白紙に戻すのか、
そのくらいの問題があるかもしれません。

たいていの契約書には「売主が所有権移転までに敷地の境界を明示する…」的な取り決めが書かれています。
「敷地の境界を明示」というのは「境界標を設置すること」と理解していいと思います。
境界が明示されていないということは契約内容と実態が異なるわけで、
将来の憂いを取り除くために「契約書通り境界を明示してください」とお願いしたほうがいいです。

対応してもらえない時には、

境界がはっきりしていない状態とマイホームを購入した生活を天秤にかける必要があります。
将来の不安はあるけれど、このままでよければ手続きをすすめればいいですし、
このままでは購入は難しいのであれば「債務不履行による契約解除」を主張すれば大丈夫です。

整理しておきましょう。

契約書で売主は引渡しの時までに、境界を明示することが契約内容になっています。
明示するはずの場所に境界標がないのであれば、境界が明示されていないことになります。
そこで「境界を明示してください」とお願いをします。

でも売主が境界の明示をしてくれない。
契約内容として書面で取り決めた内容を実施しないということは、
法律っぽく表現すると「債務を履行しない」すなわち「債務不履行」と解釈できます。

だから買主の権利として「期日を定めて債務の履行を催促」して、
それでも対応してもらえないのなら契約を白紙にできるのです。

債務不履行による解約ですから、
支払っている手付金は全額返還されますし、
場合によっては損害賠償の対象にもなります。

長くなったついでに余談をお伝えします。
営業さんはお客様が解約を申し出た場合、
解約の理由にかかわらず「では手付金は放棄してもらいますよ」が常套句になっています。

これは、債務不履行も存在しない、物件に不具合も存在しない状態で解約する場合が
手付金の放棄による解約になるのです。


たとえば、契約を締結したものの、
不動産は高額な商品ですから契約後はいろいろな不安を感じます。
「住宅ローンを支払っていけるのかな?」とか
「本当にあの物件でよかったのかな?」などなど。

物件にも、不動産業者さんにも問題はないけれど、不安だから解約したい。
そのように大きな理由もなく解約する場合には、手付金を放棄すれば解約できるということになっているのです。

だから、営業さんから「手付金がお返しできませんけれどよろしいですか?」と言われたら、

「いや、手付放棄の解約ではなく、債務不履行の解約でお願いします」

と自信を持って伝えましょう。

なんだか、境界を確認するアドバイスが、
契約を解約するアドバイスになってきてしまいましたので、
そろそろ締めさせていただきます。

簡単な説明で済まされることが多い境界確認

いかがでしょう、敷地の境界の確認が重要なことご理解いただけましたか?
勤務先でも契約時によくみられる光景ですが、
境界の位置の確認、あまり現地では行いません。(行うべきです!)

契約書類と一緒に測量図に目を通して、
「ココとココとココに境界があります」程度の説明で終わってしまいがちです。
そして、おまけでブロックやフェンスの管理はどちらが負担するのか説明される程度です。

不動産の取得は、建物と土地の取得ですが、
言い方を変えれば土地と建物の所有権を取得することです。

すごいことだと思いませんか?
地球上にある陸地のココからココまでの範囲がみなさんのモノなのです。

建物なんてのは、敷地の内側に建っているものだからそれほど心配はないですけれど、
土地は第三者の所有権が及ぶ範囲と、みなさんの所有権が及ぶ範囲で接しているのです。

だから、第三者にみなさんの範囲を主張する「印」が必要。
建物もいいけれど、現地で敷地の境界をしっかり確認してくださいね。

みなさんの敷地境界の知識が、
また一歩、営業さんに近づけたでしょうか?
「え?解約の知識が身に付いた?」
あはは~それでもいいでしょう。

営業さん主導になりがちな住宅購入。
住宅購入の主役は営業さんではなくみなさんですよ。
営業さんのステージではなく、みなさんのステージで商談を進めたいものです。

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