食器洗い乾燥機はステータス装備
我が家では家を建てた時にビルトインタイプの食洗機を設置したのだが使わなくなって11年…。
食洗機の下にある引き出しがおやつ収納スペースになっている。
柿の種でも食べるかと引き出しを開けた時に、この記事を書こうと思いついた。
…と、我が家のおやつの収納場所の話をしても誰の役にも立たないので本題に入ろう。
今回のテーマは「食洗機いるかいらないか」がテーマ。
結論は「いらない」「なくてもいい」装備だというのが私の持論。
この記事を読んでいただければ食洗機の設置に迷っている方で、特に「なくてもいいんじゃない」と思っている方は自信を持って「つけない」決断ができると思う。
全自動食器洗い乾燥機という名称はとても魅力的
全自動食器洗い乾燥機という名称がスゴい。
だって、全自動で食器は洗ってくれるわ、乾燥はしてくれるわ。
イメージだけでいったら食器洗いの家事の負担はゼロになるような、パワフルな設備名だと思う。
でも実際には食洗機に食器を入れる時にバランスや水流のことを考えないといけないし、
乾いた後は、結局自分で食器棚に食器を戻さなくてはならないし、
食器についた食ベカスが食洗機の排水フィルターにたまるので掃除しなくてはならないし、
料金の高騰で貴重なエネルギーとなった電気を使用しなくてはならない。
かつて我が家で使っていた食洗機は標準コースを使うと洗浄と乾燥が終了するのにおよそ40分かかった。
現在、夫婦二人の生活で手洗いで食器を洗い終えるのに5分程度。
翌朝になるが乾いた食器をしまうのに2分程度。
洗う手間とか、手荒れとか気にしなければ手洗いのほうが早い。
おまけに今や食器洗いと片付けは私の仕事なので、奥さんに負担をかけることもない。
将来、全自動食器洗い乾燥食器片づけたまった食べかす取り除き機になったら購入してもいいかもと思うが、今の食洗機だったらなくてもいいと思う。
しかしそこにはマイホームの魔法の力がかかる。
今の生活で不便だと感じていること、不満だと感じていることを解消するのがマイホーム購入。
家事に負担を抱えていれば食洗器をつけるし、床の汚れるアイランドタイプのキッチンをつける。
食洗器がついているアイランドタイプのキッチンなら、誰に見せても「いいなぁ」「ステキ」と言われる。
せめてそうでも言ってもらわないと現実が報われない。
結局のところ、かつて昭和の高級車についていたサンルーフやドアミラーのワイパーのような憧れの装備のひとつだと考えればいいのではないだろうか。
「マイホームを持ったら絶対に食洗機!」という方は装備してみればいい。
せっかくあるのだから我が家よりは活用できるはず。
活用できているうちは本当に便利だ。
「食洗機ってどうなんだろうね、あったほうがいいの?」という方はつけなくても大丈夫。
まだまだ人力の食器洗いを超える効率のいい装備ではない。
アンケートではっきりわかる重要度
私は建売住宅を主力商品として販売する会社に勤務して22年。
すでに営業の第一線を退いて18年になる。
時代に合わない器用貧乏のゼネラリストで何でも屋的な業務に従事している。
その中の仕事のひとつに、引き渡し後のお客様満足度アンケートの管理がある。
この中に「設置されていた装備で不要だったものはありますか?」という質問がある。
ここ数年いらなかった装備のダントツの1位が「食器洗い乾燥機」なのだ。
それじゃぁ…ということで食洗機を標準装備からはずすと…。
「設置されていない設備であったらよかった装備はありますか?」の質問に、これまたダントツで「食器洗い乾燥機」が第1位となるのだ。
こういった結果からみても人はないものねだりのわがままだということと、食洗機は一度は使ってみたい装備だということがわかる。
ご自身の食洗機への信用度とのバランスを考えた食洗機設置が望ましい。
他にも一度は使ってみたい装備あるある
浴室乾燥機
お風呂といえばいい湯だな。
「湯気が天井からポタりと背中に」といわれるように湿気がたくさんある場所だ。
だからカビも生えやすい。
カビを生やさないように湿気を防ぐ、湿気を防ぐために乾燥機というわけだ。
浴室と洗面脱衣室の温度差によるヒートショックを防止するため、浴室暖房は活用の度合いが高いと思うが、乾燥機となるとどうなのだろう。
今や洗濯機にも乾燥機能が付いている。
ごくたまに、我が家でも思い出したように天気が悪い日に洗濯物を浴室乾燥機で乾かしてみることがある。
浴室にランドリーパイプが付いているので洗濯物を掛けてみるものの、夫婦二人分の洗濯物でさえギュウギュウ詰めである。
家族が3人とか4人では干しきらないだろうと思う。
ましてや乾燥機の温風は、乾燥機の真下にしか当たらないのでランドリーパイプの端のほうにある衣類はたいして乾かないのだ。
もし、注文住宅やリフォームを検討中の方で浴室の乾燥機はどうしようか思っている場合、
選択肢に「乾燥機能がない設備」があるのなら、私はそちらをおすすめする。
コストも抑えられるだろうし私は暖房のみついていればいいと思う。
2階のシャッター
町を車で走っていると、たまに見るのが窓という窓のすべてにシャッターが付いている家。
なにかと物騒な世の中、防犯という意味で1階の窓にシャッターがあるのは役に立つと思う。
問題は2階のシャッターだ。
あれは個人的にはいらない気がする。
なぜいらないか。
それは開閉がめんどくさいからである。
我が家のシャッターは1階のリビングと和室の掃き出し窓にそれぞれ1枚づつとダイニングの腰高窓に1枚。
これだけでもめんどくさいのである。
特にたまにしか使わない和室なんて、昨年私が新型コロナに感染して自宅で隔離が必要になり、和室で10日間軟禁されるまでシャッターを閉めることもなかったくらいだ。
台風の季節にあきらかに暴風雨となる予報があり、テレビではガチャピンやそらジローが、気象予報士と一緒に、窓ガラスが割れた場合の飛散を防止するために窓へのテープの貼り方などをレクチャーする。
ああいう時には2階に窓があったら安心だと思う。
ああいう状況も「50年に一度の…」とか「100年に一度の…」と新日本プロレスの棚橋弘至のような表現をされるくらい稀な出来事だ。
せっかく家を建てるなら安全も完璧にしたい。
気持ちはよくわかるが2階のシャッターがしまったままの家もよく見るし、シャッターケースがあるのにシャッターが閉まることのない家もよく見る。
個人の価値観はあるが2階にまでシャッターをつけるのならば、いっそのこと電動シャッターにしてしまったほうがいいと思う。
開け閉めがめんどくさいから。
IoT
IoTとかもどうなのだろう。
外出先からエアコンがつけられる、お風呂にお湯がはれる。
たしかに真夏に帰宅してリビングがキンキンに冷えていたらうれしいし、真冬に帰宅して熱いお風呂に飛び込めるのは幸せ。
でもこのIoTも、あと1歩か2歩…いや5歩か6歩くらいすすまないと、こりゃ便利だ!とならなそうな代物である。
つけても結局はそれほど使わない装備となり住宅ローンだけは毎月支払う。
私には「IoT」の文字が顔文字に見える。
そう、唖然と口が開けて涙をながしている顔だ。
ほかにも憧れの装備、一度は使ってみたい装備は山ほどある。
結局のところ、これらの代金は住宅ローンに組み込まれる。
数千万円の買い物で10万円か20万円が増えたところであまり重みを感じなくなってしまうのか。
「いいなぁ」とうらやましがられるのははじめだけ
新築住宅を購入して「いいなぁ」とうらやましがられるのははじめの内だけ。
親戚や知人にひと回り見てもらった後は自己満足の時間。
業界に長く身を置いてみて感じるのは、居住する年月が長くなればながくなるほど「いいなぁ」と思う点は「動線」や「構造」などの住宅の基本的な部分。
装備なんていうものは毎年新しいものが発表されるので、うらやましがっていたらキリがない。
自動車やスマホなら買い替えの余地はあるが、住宅はそうもいかない。
そう考えるとマイホームは新築でなくてもいい。
中古住宅だってリフォームだって最新の設備を導入すれば使い勝手は新築と同等になるのだ。
「動線」などの基本的な部分が満足なら建物の新しさに大きな違いはない。
はじめて家を購入する方も。
今住んでいる場所で建て替える方も。
今の住まいをリフォームする方も。
最後はご家族のライフスタイルに合わせることが大切。
食洗機をつけてもIoTをつけても、時間の経過とともに自慢の装備について話題にあがることはないのだから。